自由が丘の古民家カフェ「古桑庵」で、くつろぎのひとときを

自由が丘の古民家カフェ「古桑庵」で、くつろぎのひとときを

わたしにとって自由が丘は、気後れしてしまう街だ。代官山や中目黒なんかもそう。つまり、「オシャレな街」。

浅草に生まれ、近所でふんどし姿のおじいさんが毎朝窓拭きをしているような環境で育ったわたしは、かつては東横線的なオシャレタウンに憧れていた。何なら東横線沿線に住んでいた時期もあったのだけど、「自分はこのオシャレ感には不釣り合いなんじゃないか?」と、いまだに気後れしてしまう。

仕事の都合で久しぶりに立ち寄った自由が丘は、やはりオシャレだった。

午前中に仕事を終え、お昼を食べようにも、どのお店も敷居が高く感じられて入りにくい。結局チェーン店のカフェで簡単に食事を済ませ、そのまましばらく仕事を続ける。

区切りがついたところでパソコンを閉じて時計を見ると、15:00。そろそろ切り上げて帰ろうかと思ったところで、あるお店のことを思い出した。

外はカンカン照りのいい天気。この天気ならきっと、中庭の素敵な眺めを楽しめるはず。

すっかり冷めたブレンドを飲み干し、パソコンをしまってカフェをあとにした。

築60年以上の茶室が古民家カフェに。自由が丘「古桑庵」

向かったのは、自由が丘の「古桑庵」。
「古桑庵」は、元は大正末期に個人宅として建てられた建物で、1954(昭和29)年に茶室が増設された。

茶室部分を利用し、1999(平成11)年に茶房兼ギャラリーとしてオープン。今年でちょうど20周年の、古民家カフェだ。

 

画像:みたら氏
みたら氏

わたしちゃん、お疲れさま。

画像:わたしちゃん
わたしちゃん

あ、みたら氏! わざわざ自由が丘まで来てくれてありがとう。浅草からだと、遠かったでしょう?

画像:みたら氏
みたら氏

4〜50分ってとこかな。用事がないと来る機会もないから、呼んでもらえてよかったよ。「古桑庵」行ってみたかったしね。

画像:わたしちゃん
わたしちゃん

ならよかった! わたしは前に行ったことはあるんだけど、すごく素敵な雰囲気だから、みたら氏もきっと気にいると思うわ。

 

画像:みたら氏
みたら氏

いいね、味があって。自由が丘はオシャレなカフェが多いから、この雰囲気は珍しい。入り口はこの奥かな?

画像:わたしちゃん
わたしちゃん

そうね! さて、行きましょうか。

「古桑庵」の名付け親は、夏目漱石の娘婿である小説家・松岡氏

「古桑庵」と名付けたのは、夏目漱石の長女・筆子の夫であり小説家の松岡譲氏。

当時の当主・渡辺彦氏と松岡氏はテニス仲間として親交があり、茶室作りも「隠居後の楽しみに」と、2人で計画したのだとか。

渡辺氏が好きな桑の古材を、松岡氏が郷里・長岡から調達したことが、その名の由来だ。

 

画像:みたら氏
みたら氏

入口からして素敵だよねぇ。こんなおうちに住めるなんてうらやましいな。

画像:わたしちゃん
わたしちゃん

本当にそうね。でもねみたら氏、中の席からの眺めも素敵なのよ!

 

画像:みたら氏
みたら氏

本当だ、素敵だね! 今日はよく晴れているから、緑が目にまぶしいよ。

画像:わたしちゃん
わたしちゃん

中の雰囲気もいいわよね。おばあちゃんのおうちに来たみたいな、どこか懐かしい感じがあって。

 

画像:みたら氏
みたら氏

畳に座っているからかな、天井が高くて開放的なのもいいね。室内なのに、なんだか深呼吸したくなるような心地よさがあるなぁ。

画像:わたしちゃん
わたしちゃん

席と席の間もたっぷり空間が取られているから、ゆったりできるしね。自由が丘ってオシャレすぎてなんだか気後れしちゃうんだけど、ここは唯一くつろげる場所なの。

くつろぎの空間で、ところてんと抹茶をいただく

 

画像:みたら氏
みたら氏

何にする? わたしちゃん。

画像:わたしちゃん
わたしちゃん

そうねぇ、あたたかい抹茶をいただこうかな。みたら氏は?

画像:みたら氏
みたら氏

僕はところてんにするよ。飲み物はどうしようかな……。

画像:わたしちゃん
わたしちゃん

あ、ほうじ茶がついてくるわよ。

画像:みたら氏
みたら氏

そうなんだ。そうしたら、別で飲み物を頼まなくていいかな。

 

画像:わたしちゃん
わたしちゃん

ところてんって、あんみつみたいな華やかさはないけど、すごく綺麗よね。

画像:みたら氏
みたら氏

そうだね。酢醤油に横たわるところてんに光がキラキラと反射していて、美しいね。

画像:わたしちゃん
わたしちゃん

小さい頃におやつでよく食べてたなぁ。そのころはもちろん、カラシ抜きだったけど。

画像:みたら氏
みたら氏

酢醤油にカラシを溶かす塩梅がなかなか難しいよね。ちょっとだとカラシの味がしないし、かといって溶かしすぎると辛くてむせちゃうし。

画像:わたしちゃん
わたしちゃん

そうそう、何気に調節が難しいのよね……あ、抹茶も来たみたい。

 

画像:みたら氏
みたら氏

お茶菓子がついてるんだね。

画像:わたしちゃん
わたしちゃん

そうね! 外側はシャリシャリしていて、中はゼリー状で……これは、琥珀糖かな。ほんのりと上品に香る柚子がいいわね。

 

画像:みたら氏
みたら氏

抹茶のお茶碗、ガラスだね。透け感があって、涼しげでいい。落ち着いた色合いのひまわり柄も素敵だな。

画像:わたしちゃん
わたしちゃん

抹茶のお茶碗って陶器のものが多いけど、夏だから透明感のあるガラスのものにしているんでしょうね。季節感を楽しめていいわね。みたら氏、ところてんはどう? カラシを溶かしすぎてない?

画像:みたら氏
みたら氏

うまくいったよ、すごくおいしい。酢醤油のさっぱり感が、夏の暑さを忘れさせてくれるね。

画像:わたしちゃん
わたしちゃん

みたら氏はずっと毛皮を着ているようなものだから、そりゃあ暑いわよね……。毎年夏は大変なんじゃない?

画像:みたら氏
みたら氏

そう? 生まれてこの方ずっと猫として生きてきたから、特になんとも思わないな。
僕はずっと僕だから、誰かと比べて大変かどうか、なんて考える意味はないよ。昨日の自分より今日の自分が、ちょっとでも心地よくいられたら、それでもう充分満足なんだ。

画像:わたしちゃん
わたしちゃん

なるほどね……人と比べても意味なんてないわよね、たしかに。みたら氏は、達観してるところがあるわよね。

画像:みたら氏
みたら氏

そう? 自分ではわからないけど、わたしちゃんがそう思うならそうなのかもね。

自由が丘の喧騒を忘れ、「わたし」を取り戻せる場所

抹茶をいただきながらみたら氏とのんびり話をして、時折ぼんやり中庭を眺めて。
たっぷりくつろいだあと、自分がどこにいるのかすっかり忘れたまま店の外に出たら、そこは気後れしてしまう街・自由が丘だった。

もう少しこの街をおさんぽしていくよ、と言うみたら氏と別れ、てくてくと駅に向かう。

駅までの道のりは、やはりどこもかしこもオシャレで、道ゆく人も皆洗練されている。まだ気後れするところはあるけれど、前よりは少し、顔をあげて歩いていけるような気がした。

比べることに意味なんてない。わたしはわたしなんだから。

オシャレな街の一角で、昭和に建てられたままの美しい佇まいを守り、静かにそこに在り続ける「古桑庵」。自由が丘に来たら、またここに立ち寄ろう。そう思いながら、まっすぐ前を向いて歩を進めた。

自由が丘「古桑庵」店舗情報

 

画像:みたら氏
みたら氏

【みたら氏のひとことメモ】「古桑庵」さんは、全席禁煙です。お天気の良い日に行って、お庭の景色を楽しみながらゆったり過ごしてくださいね。

古桑庵

公式サイト

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