「十番館ってことは、一番から九番もあるのかな?」
と、素朴な疑問を胸に抱きながら向かったのは、横浜・関内の「馬車道十番館」。
店名の由来を調べてみると、横浜が開港した1859年頃、海岸沿いに建てられた外国の商館は「一番館」「二番館」……と呼ばれていたようで、そこから来ているのだとか。
煉瓦造りの重厚感ある外観、店内を華やかに彩るステンドグラス。
文明開花の香りがただよう店内で、くつろぎのひと時を過ごしてきました。
横浜開港当時の建築様式で建てられた西洋館|横浜・関内「馬車道十番館」
横浜・関内「馬車道十番館」は、関内駅と馬車道駅の中間くらいにあります。どちらの駅からも歩いて5分程度。
ずっしりと重厚感のあるたたずまい。上がアーチ状になっている窓の形や、2階のバルコニーの柵など、随所からクラシカルな印象を受けます。
「馬車道十番館」の創業は、1970(昭和45)年。
横浜が開港した当時の建築様式を参考に、明治の西洋館を再現したつくりとなっています。
横浜・関内には、横浜開港〜文明開化期の面影を物語る数多くの建造物や資料が残されていましたが、大正の震災や戦災でそのほとんどが失われてしまいました。
「馬車道十番館」には当時の資料の数々が保管されており、古き良き時代に思いを馳せながらおいしい食事やデザートを楽しめる、貴重な場となっています。
喫茶・レストラン・バーがあり。ケーキはテイクアウトも可|横浜・関内「馬車道十番館」
横浜・関内「馬車道十番館」は5階建てで、喫茶やレストランがフロアごとに分かれています。
- 1階:喫茶室と売店
- 2階:英国風酒場
- 3階:レストラン(個室あり)
- 4・5階:宴会場(個室あり)
今回伺ったのは、1階の喫茶室。
レストランと宴会場は予約可能ですが、喫茶室は予約ができないよう。
前に3組ほど待っているお客さんがいらっしゃったので、店内の待合席でしばし待ちます。
ショーケースにお行儀よく並んだケーキを見ながら、「どれを食べようかな……!」と心が弾みます。
この日は母の日が近かったこともあり、おそらく姉妹だろうな、と思われる女性2人組が「どれにしようか?」「あっ、母の日用のケーキもあるよ!」と、楽しげにケーキを選んでいました。
ご近所さんなんでしょうか。家の近くにこんな素敵なお店があるなんて、うらやましい!
ショーケースの左脇には、立派な置き時計が。
少し擦れた木の風合いから経年が感じられますが、綺麗な状態です。
アンティーク“風”ではない、本物ならではの美しさ。
前面のガラスにショーケースのケーキが映っていて、これまた美しい。
吹き抜けの空間に映える、美しいステンドグラス|横浜・関内「馬車道十番館」
席に通されて真っ先に目を奪われたのは、横浜・関内「馬車道十番館」の象徴ともいえる、アーチ状のステンドグラス。
青・黄・赤の鮮やかなステンドグラスが、吹き抜けの開放感ある空間に映えています。
真っ白な壁や柵の細かい装飾からは洗練された印象を受けますが、随所に木のぬくもりも感じられ、心地いい空間。
席の後ろには暖炉が。その上には薔薇が生けてありました。なんだか優雅な気分……。
大きな窓からは、外の緑が見えます。
窓ガラスには、店内の景色がうっすらと映っています。外に見える木々の緑と重なって、なんだか幻想的な絵画を見ているような感覚になりました。
喫茶店の王道・イチゴのショートケーキをチョイス|横浜・関内「馬車道十番館」
横浜・関内「馬車道十番館」の喫茶室には、ケーキ類のほか、カレーやサンドイッチなどの軽食メニューもあります。
タマゴサンド(オムレツを挟むタイプのやつ←大好き)もすごくおいしそうで迷ったのですが、今回はオーソドックスにイチゴのショートケーキをチョイス!
一般的なショートケーキはホールケーキをカットした三角のものが多いですが、こちらは丸形。
断面から中のいちごがのぞくカットされたケーキもいいですが、ホールケーキがそのままきゅっと小さくなったようなこの形もまた、かわいらしい。
ショートケーキにフォークを差し入れて、ひと口。
ふわふわのスポンジになめらかな生クリーム、中に入った甘酸っぱいイチゴが調和して、思わず笑顔になってしまうようなおいしさです。
一緒に注文したのは、ブレンドコーヒー。
コーヒーには、砂糖のほかコーヒークリームとホイップクリームもついていました。ホイップを入れればウインナーコーヒーとしても楽しめるので、二度おいしい感じですね。
ぽってりとした形がかわいいミルクピッチャーには、「馬車道十番館」のマークが。
コーヒーカップにもマークがついていました。さりげなくかわいい。
クラシカルな洋館でケーキとコーヒーを堪能し、ゆったり。
「馬車道十番館」は、贅沢な気持ちになれる時間を過ごせるお店でした。横浜・関内にお越しの際はぜひ。
今日のひとこと
横浜は素敵な喫茶店が多くて、「ここ行ってみたいな」と思うお店がたくさんあります。
ちょこちょこ通って、制覇したい。