雑貨屋のPLAZAをいまだに「ソニプラ」と言ってしまうのだけど、PLAZAがソニーから独立したのはもう10年以上も前のことらしい。
銀座の駅直結のソニービルの地下に入っていた「ソニプラ」に、かつてはよく通っていた。輸入モノのお菓子や雑貨は眺めるだけでも楽しかったし、デパコスほど高くないけどドラッグストアには置いていないような、色とりどりのコスメを物色するのも好きだった。用事がなくてもふらりと立ち寄っては、買い物をしていた。
ソニービルには、飲食店がいくつか入っていた。そのうちのひとつ、「マキシム・ド・パリ」は、「いつか行ってみたいなぁ」と憧れていたお店だったのだけど、気づかぬうちに閉店していた。単に銀座店がなくなっただけじゃなくて、「マキシム・ド・パリ」自体が、2015年に日本から撤退したらしい。
そして2017年にソニービルは閉館し、プラザを含むすべての店舗は閉店。そして翌年2018年に、「銀座ソニーパーク」がオープンした。
……と、まるでずっとソニービルの流れを追いかけてきたような書きぶりになってしまったけど、そうじゃない。
「そういえば、ソニプラはいつプラザになったんだっけ?」
「ソニービルのマキシム・ド・パリって気づいたらなくなってたよね」
「ソニービルって閉館して工事してたけど、いつの間にかオープンしてたな」
と思って、単に調べただけだ。
変わりゆく街の姿に出くわして、「そういえば、あれってどうなったの?」と思うことがよくある。後から調べて事実を知ると、答え合わせをしているような感覚になる。
変わることに対する寂しさは、少しある。でも戸惑いはない。人は歳を取るし、物は劣化するし、街は変化する。変わるのは、自然なことなのだ。
さて、どうして急にソニービルに思いを馳せたのかというと、先日「銀座ソニーパーク」に行ってきたから。
「銀座ソニーパーク」がオープンしたあと、地下にイベントスペースができているのは気付いていたけれど、じっくり見たことはなかった。銀座の地下を歩いているときにたまたま通りかかり、ふらりと立ち寄ってみた。
この間行ったときには、ゴーストバスターズの35周年記念企画が開催されていた。
ひととおり各フロアをぐるりとめぐってから、B4階の「BEER TO GO」へ。クラフトビール専門店「SPRING VALLEY BREWERY」が運営しているお店だ。代官山の店舗には何度か行ったことがある。
おつまみをいくつかと、6種類の飲み比べセットをレジで注文して、席につく。
むき出しの天井に、コンクリートの床。超絶オシャレな倉庫、という感じ。週末、しかも銀座駅直結の施設だというのにガラガラだった。少ししたら何組かやって来たけれど、それでも空いていた。穴場なのかもしれない。
奥には、ゴーストバスターズのネオンが光っている。
接写。ちなみに映画を見たことはない。このキャラクターも何となく見覚えはあるけど、ミシュランのキャラクターと似てるな、くらいの印象。
飲み比べのビールたち。
飲み比べセットは、「コアシリーズ」の6種類。それぞれの味の感想はこちら。
- 496(ヨンキューロク):一口飲んだ瞬間、ホップの香りがファッ! と勢いよく突っ込んでくる感じ。華やか。苦味やや強め。
- on the cloud(オンザクラウド):すっきり華やか、フルーティーなホワイトエール。
- COPELAND(コープランド):香りが良いピルスナー。この6種類の中では比較的スタンダードな感じ。いろんな料理に合いそう。
- Afterdark(アフターダーク):ロースト感がガツンとくる、個性強めな黒ビール。ギネスよりもロースト感は断然濃ゆい。ゴクゴク喉越し! じゃなくて、ゆっくり楽しむ系のビールだと思う。
- Daydream(デイドリーム):ホワイトビール。「on the cloud」よりも複雑な味。柑橘系の香りがするけど他にもなんか入ってそう、でも何だかわからない……と思ってあとでリーフレットを見たら、山椒が入っているらしい。柑橘の香りはゆずだった。
- JAZZBERRY(ジャズベリー):ベリーの香りが強めで個性的なビール。ラズベリー果汁が入っているそう。
6種類とも、色も、香りも、味もぜんぜん違う。クラフトビール、楽しいな。
一番好みだったのは、「on the cloud」。ホワイトビールが好きなので「Daydream」もおいしかったけど、「on the cloud」のほうがすっきりしていて好きだった。
カップもかわいい。SPRING VALLEY BREWERYは内装もショップカードも、こういうちょっとしたカップすらも、いちいちオシャレ。好き。
イモはオシャレではなく普通だったけど、おいしかった。細くてカリカリ系。
ビールの6種飲み比べセットは、2人がかりで飲んだというのに、飲み切れなかった。
最近は、本当に飲めなくなった。散々飲み歩いていた20代の頃が、嘘のよう。昔だったら、1人で6種類飲み干せていただろうなぁ。
肝機能の衰えにちょっとした切なさを覚えるけど、街と同じく、わたしも変わっているのだろう。
時の流れとともに、ゆるやかに変化する自分自身を感じるここ最近。変わることに対する寂しさは少しあるし、戸惑いもある。けれど、無理に抗いたくはないなと思う。だって、それは自然なことだから。
銀座ソニーパークは、今は地下フロアだけだけど、2022年までには地上階ができて、「新ソニービル」がオープンするらしい。
3年後の銀座は、どう変化しているのだろうか。わたしは、どんな風に変わっているんだろう。
変化を楽しみながら、3年後を迎えたい。