2026年最初の美術展は、三菱一号館美術館で開催の「アール・デコとモード」展へ。
ドレス、デザイン画、ジュエリーなど、約310点もの美しい作品たちを堪能しながら、女性の装いの変化から見られる、時代背景や変化に思いを馳せてきました。
概要|アール・デコとモード 京都服飾文化研究財団(KCI)コレクションを中心に
- 会場:三菱一号館美術館
- 会期:2025年10月11日(土)〜2026年1月25日(日)
- 観覧料金:2,300円(一般) ※東京駅周辺美術館共通券(5,000円)使用
今回は「東京駅周辺美術館共通券」を利用しました。
東京駅周辺美術館共通券は、東京駅周辺の対象美術館5館で利用できるお得なチケット。5,000円(税込)の共通券を買うと、1年間で各館で1回ずつ、好きな展覧会を鑑賞できます。
▼「東京駅周辺美術館共通券」の詳細は以下記事
ファッションにおける”アール・デコ”から感じた、女性たちの変化

「アール・デコ」は、1920年代を中心に世界を席巻した装飾様式。アール・デコは、建物や家具、服といった生活デザイン全般に取り入れられました。
今回の展覧会で扱っているのは、「ファッション」に取り入れられたアール・デコ。
ポワレやランバン、シャネルといったパリ屈指のメゾンが生み出したドレス、デザイン画、ジュエリー、メイク用のコンパクトや香水瓶など、約310点もの作品が展示されていました。



ドレスや服飾小物の変遷からは、古い慣習を脱ぎ捨てて自由に、活動的になった女性たちの姿がありありと浮かびます。
最も印象に残ったのは、アール・デコ期以前 / 以後のドレスが並べられた展示。
1890年代後半から1910年代前半頃までは、コルセットでウエストをきつく締め上げるスタイルのドレスが中心。
胸元とおしりは豊かでウエストは細く。その曲線が女性の美しさである、とされた時代です。(男性が着用していた時期もあるよう)

実際のコルセットが展示されていましたが、一見しただけでわかるほどの異常な細さ。上の写真のマネキンのウエストは40cmとのこと…。こんな細さに矯正して体がおかしくならない訳がない!健康被害もあったというのは頷けます。
その横には、アール・デコ期に入ってからのドレスも対比として展示されていました。

アール・デコ期のドレスの特徴のひとつが、直線的なライン。ウエストマークしてあるドレスもありますが、基本的にはゆったりとしていて体に負担をかけない、機能的な造りです。
女性の行動変容に伴い「機能美」が重視されるように

近代化に伴う装飾様式の変化の特徴には、女性の解放とともに、実用性を重視しつつも美しい、「機能美」というキーワードがあるように感じました。
先日見た「ウィーン・スタイル ビーダーマイヤーと世紀末(パナソニック汐留美術館・会期終了)」では、従来の華美な装飾から、簡潔で実用的、機能的な様式へと家具や装身具等が変化していった様子が展示されていました。
今回のアール・デコとモダン展でも、時代の流れとともに女性の行動が変化したことから、その装いも変化していったのだ、と感じられる作品が多く展示されていました。
まず、ヒールの展示。

近代化に伴い女性のスカートの丈は短くなっていきましたが、これは女性が自由に鉄道などを使い行動するようになったため、動きやすいよう短く変化したのだそう。

靴がよく見えるようになったことから靴の装飾も重視されていき、「ジュエルド・ヒール」と呼ばれる、贅沢な意匠をほどこしたヒールも登場しました。
そして、外でメイク直しをする際に使うための、メイク用のコンパクトの登場。
1人で着ることのできない、ウエストをぎゅうぎゅうに締め付けられる、長い裾のドレス。当時は 基本的には女性家を守る役割を担っていたので、動きやすくする必要はなかったのです。もちろん、外でメイクを直すような場面もなかったのでしょう。

会場には公園のベンチでメイク直しをする女性の写真が展示されていました。(撮影不可だったので写真はなし)
公衆の場でリップをちょっと塗り直す、なんて今ではよく見られる光景ですが、当時はかなりセンセーショナルな光景だったのでしょう。
手のひらに収まるサイズの、キラキラと美しい小さなパウダーケースやリップケース。これらは女性たちにとっては自由の象徴のような存在だったのかも…と、当時に思いを馳せました。

きらびやかなドレスや装飾品の数々はどれも美しくて、眺めているだけでうっとりとした気持ちになりますが、このドレスたちがどういった経緯で生まれていったのかを知ることで、よりその美しさに味わい深いものを感じました。






