浅草の「カフェ・オトノヴァ」の“完璧”なパフェで心満ちる時間を

「パフェ」という名は、「完璧」を意味するフランス語の「parfait(パルフェ)」が、その語源だという。

ちょっとしたことがあって心がささくれだっていたある日、綺麗なものでも食べて気分を上げたいな、と思って訪れた、浅草の「カフェ・オトノヴァ」。

そこで食べたパフェは、見た目も味も、まさに完璧だった。

築60年の古民家を改装したカフェ|浅草「カフェ・オトノヴァ」

「カフェ・オトノヴァ」は、かっぱ橋道具街を一本裏手に入った、住宅街の中にあるカフェです。

最寄駅でいうと、つくばエクスプレスの浅草駅、銀座線の田原町駅、日比谷線の入谷駅。
銀座線/浅草線の浅草駅からだとすこし遠いのでご注意を。

店名の「otonova」は音楽の音「oto」、ボサノヴァの「nova」(ラテン語で新しい、英語で新星の意味)を合わせた造語。

美味しい料理やスイーツを提供するのと同じように、心地よい「音の場」を提供したいという思いが込められているそう。

店内では、ボサノヴァ、ジャズ、フレンチを中心にソウル、ラテン、ポップス等、音楽好きの店主が幅広くセレクトした音楽を楽しめます。

築60年近い古民家(飴の工房兼住居)を改装して作られたお店は、ヨーロピアンテイストながら、どことなく懐かしい雰囲気も感じられます。

窓を覆わんばかりに生い茂る緑の向こうに見える室内からは、オレンジ色のやわらかい光がもれ出ていました。その光に誘われるように、店内へ。

ヨーロピアンテイストの店内はくつろげる雰囲気|浅草「カフェ・オトノヴァ」

「カフェ・オトノヴァ」では、12〜18時はカウンターでの先払い制になっています。

パフェの内容は季節ごとに異なるよう。今回伺った際には、「桃とアールグレイ」でした。桃もアールグレイも好きなので、メニューを見た瞬間に迷わずオーダー。

あわせてホットコーヒーも注文し、2階へ向かいます。

2階は、中央の吹き抜けをはさんだ道路側に、テーブルがいくつか置かれている広めのフロアがあります。そしてその反対側には、ひとテーブルだけ奥まった席がありました。

道路側のほうが日の光が入って明るい印象でしたが、こぢんまりとしたところにおさまりたい気分だったので、奥まった席のほうへ。

古民家ならではのレトロな雰囲気が素敵なカフェ・オトノヴァさんは、「古くても良いものを大切にしたい」という考えから、店内のテーブルや椅子、その他のインテリアにもアンティークを多く使用しているのだとか。

使い込んだ風合いの家具からは、アンティーク“風”ではない、本物の味わいを感じます。

席からは、吹き抜けの真下にあるレジカウンターが見えました。そして、カウンター奥に飾られている、白くてふさふさした草がちらり。

このふさふさ、おしゃれなお店によく飾ってあるイメージだけど何ていう植物なんだろう? と思って「おしゃれな草 ふさふさ」でググったら正解らしきものが出てきました。(気になる方はググってみてください)

見た目も味も完璧!桃とアールグレイのパフェ|浅草「カフェ・オトノヴァ」

コーヒーを飲みながらしばらく待っていると、お待ちかねのパフェがやってきました。
(パフェが出てくるまでにはけっこう時間がかかったので、時間に余裕がある時に来るのをおすすめします)

桃とアールグレイのパフェ 1,300円

ワイングラスの細い足の上に、色鮮やかな層が連なっていて美しい……!
芸術品かな? と見まごうくらいの美しさ。このまま持ち帰って、家の棚に飾って愛でたいくらい。いや嘘です、食べますけどね。

個人的に、見た目にも量的にも、パフェグラスじゃなくてワイングラスに入ってるのがいいなと思いました。

ふだん甘いものをそんなにたくさん食べるほうではないので、容量大きめのパフェグラスだと「量が多いな……」と途中で疲れてしまうことがあるんですよね。

店員さんが、パフェの構成が載っているメニューも持ってきてくれました。

上から順番に、

  • メレンゲ
  • 桃のシャーベット
  • 桃(フレッシュ)
  • アールグレイのクランブル(さくさくした茶色いやつ)
  • シャンティ(白いクリーム状のもの)
  • アールグレイのブラマンジェ(ふるふる)
  • 桃のコンポート
  • 桃のジュレ
  • フランボワーズソース

上から順に食べていくと、味や食感に変化があって楽しい。そして、言うまでもなくおいしい!!!

全体的にはジューシー&ふるふるなどやわらかめの食感が多いんですが、その中でクランブルのサクサク食感がアクセントになっていました。

そして一番下にフランボワーズソースがあることで、酸味できっちり〆! な感じで、最後に味が締まってとてもいい。

上に刺さっている半透明のものは飴のプレート。気泡が美しい。

ほんのすこしだけ渋み(※)のあるフレッシュな桃と、じゅるっと甘いコンポートの桃を食べ比べて、違いを楽しめるのもよかったです。

(※桃の渋みはポリフェノールによるものらしいです。ちなみに「渋み」といってもこのパフェの桃はしっかり甘くて、「砂糖で煮たコンポートと比べたら、生の桃らしい渋みがあるな」という程度でした)

丁寧につくられたおいしいものを食べると、心が満たされますね……。
素敵な時間を過ごせました。

なお、こちらは人気店のため、週末は混雑するようです。
予約もできるので、確実に入りたい方は予約をしたほうがいいかもしれません。

【店舗情報】浅草「カフェ・オトノヴァ」


※全席禁煙です。

浅草出身のライター。「レトロ」を軸に執筆活動を展開。「和樂Web(小学館)」「びゅうたび(JR)」など各種メディアにて、明治〜昭和の喫茶店文化や食文化にまつわるコラム、レトロスポットの取材記事などを執筆。当Webマガジン「てくてくレトロ」主宰。