創業は明治8年。上野公園の「韻松亭」でお花見ランチを堪能

上野公園に行くたびに、趣のあるたたずまいが気になって遠くから眺めていた「韻松亭(いんしょうてい)」。

通りすがりに、店頭に置いてあったパンフレットを手に取って見てみると、なにやら歴史あるお店のよう。

敷居が高く感じられてなかなか足を踏み入れる機会はありませんでしたが、今回初めて食事をしに行きました。

明治創業の老舗日本料理店|上野「韻松亭」

上野公園内にある「韻松亭(いんしょうてい)」。1875(明治8)年に創業した日本料理店です。

韻松亭は、明治政府の命を受け、上野公園の開園に合わせてこの場所に創業したお店です。
当時の日本にはまだ「公園」という概念がなく、欧米にならって明治政府が初めてつくった公園のひとつが、上野公園でした。

歴史が感じられる和の雰囲気の中、豆菜料理を中心に、豆と季節の新鮮な食材をふんだんに使った食事をいただけます。

今回いただいたのは、お花見の時期限定の花見御前。平日の午前中に店頭で予約を取り、13時半ごろに入店しました。
ちなみに当日店頭での予約の場合は、時間を指定して予約するのではなく、席が空き次第、予約の早い人から順番に通していく形でした。

おそらく13時半ごろになる……とのことだったので、お花見をしたり買い物をしたりしながら、のんびり待ちました。
確実に入りたい場合は、事前に予約をしたほうがいいかもしれません。

趣のあるたたずまいの店内|上野「韻松亭」

韻松亭には、同じ建物内に「喫茶去(きっさこ)」という喫茶があります。(喫茶去は平日15〜17時のみの営業)
今回は、喫茶去のほうの席にご案内いただきました。おそらく、混んでいる時には喫茶のほうの座席も使うんだと思います。

趣のあるたたずまいの店内は、落ち着いた雰囲気。
窓際の大きなテーブル席に通していただけたので、日の光が入って明るく、気持ちがよかったです。

虎と龍が描かれた屏風絵がありました。虎、口元は獰猛だけど、目元が意外とかわいらしい。

お花見の期間は、3,850円の「豆桜」と、5,500円の「黒桜」の2種類のメニューのみ。
ゆば刺しを食べたい・お値段もお手頃・量もちょうどよさそう、ということで「豆桜」を選びました。

ちなみに、通常時のランチだと1,600円くらいのお弁当もあるよう。お花見期間ということで普段よりもお高い……とはいえ、その分内容も豪華なので、期待が高まります。

豪華!お花見の時期限定メニューの「豆桜」|上野「韻松亭」

食事前に置かれたお品書きを見て、食べ切れるかな……と若干不安を覚えました。品数がすごい。

そして、食事が到着。お重で運ばれてきて、店員さんがテーブルに並べてくれました。

豪華!!!!

大好きなゆば刺し。桜のうつわが春らしくていい。濃厚ですごくおいしかったです。

こちらは、たまごの茶わん蒸しの中に、ごま豆腐が入ったもの。中がめちゃくちゃ熱いので、召し上がる際にはご注意を。とぅるんとなめらか、ごまの風味が絶品。

穴子、鴨のくんせい、ほたて、にしん、里芋、三色団子……などなど、いろいろと入っている段。色鮮やかで見た目にも楽しい!

季節のお造りと、中央にはタコと葱の酢味噌あえ。普段は白身派なんですが、このマグロ、おいしかったな……。

そして、豆ごはんと赤だしのお味噌汁。個別の写真を撮るのを忘れてしまったのですが、どちらもおいしかったです。
どのお料理からも、丁寧につくられているのが感じれらるな……と思いながら、ひとつひとつ味わって食べました。

デザートは生麩のまんじゅう。弾力がものすごくて、黒文字(←和菓子を切る木のピックの名称。恥ずかしながら今初めて知りました)ではまったく切れず、結局刺してかじりつきました。もちょもちょした食感が、すごくおいしかった!

ゆっくり食べたのでなんとか全部食べられましたが、量がやはり多かった……! かなり満腹になりました。

でも、いつもなら胃の許容量をオーバーしたらすぐに胃が痛くなってしまうんですが、今回はそういうことはなく。豆腐やお野菜中心の食事だったからでしょうか。

食後はお花見をしながら、上野公園を散歩。
あんなにきちんとした和食を食べたのは久しぶり。公園の桜もきれいでしたし、いい時間を過ごせました。

韻松亭のようすは、てくてくレトロのYouTubeチャンネルでもご紹介しています。こちらもよろしければぜひ。

【店舗情報】アクセス、禁煙/喫煙情報など|上野「韻松亭」

〒110-0007 東京都台東区上野公園4−59

※全席禁煙、クレジットカード決済可

浅草出身のライター。「レトロ」を軸に執筆活動を展開。「和樂Web(小学館)」「びゅうたび(JR)」など各種メディアにて、明治〜昭和の喫茶店文化や食文化にまつわるコラム、レトロスポットの取材記事などを執筆。当Webマガジン「てくてくレトロ」主宰。