たしか最初に見た彼の作品は、テキスタイル画だったような気がする。
具体的にどの作品だったかは忘れてしまったけど、淡い色合いで描かれたテキスタイルの洒脱さに惹かれ、そこから竹久夢二のことを知りました。
美人画を数多く描いた画家として有名な夢二ですが、書籍の装幀や、広告、日用雑貨に浴衣などいろいろなデザインも手がけていたそう。
レトロな雰囲気が素敵な「弥生美術館・竹久夢二美術館」で、大正ロマンにふける休日を過ごしてきました。
大正ロマンのムード漂う美術館「弥生美術館・竹久夢二美術館」
「弥生美術館・竹久夢二美術館」は、同じ敷地内に隣接して建っている2つの美術館。
2館とも、弁護士・鹿野琢見氏により創設されたもので、1984(昭和59)年に弥生美術館が、そして1990年(平成2)年に竹久夢二美術館が建てられました。
弥生美術館では挿絵画家・高畠華宵(たかばたけ かしょ)の作品が、竹久夢二美術館ではその名の通り竹久夢二の作品が展示されています。2つの建物は繋がっていて、ひとつのチケットで両方の展示を見られます。
美術館の敷地内には木々が生い茂っていて、居心地のいい空間。なんだか空気までおいしい感じがします(おそらく気のせいですが)。
館内からも、外の緑が見える場所が。(撮影OKエリアだったので撮りました)
こぢんまりとした美術館ですが、建物内はレトロなムードがそこかしこに。すごく好みな雰囲気でした。
企画展「アンティーク着物万華鏡」|弥生美術館・竹久夢二美術館
訪問時には、企画展「アンティーク着物万華鏡 ー大正~昭和の乙女に学ぶ着こなしー」が開催されていました。
現代においては着物に対し、「堅苦しい、きっちり着ないといけない」というイメージを持つ人が多く、着物の着方がなっていない人にチクチクとお小言を言うような「着物警察」なる存在もいます。
ですが本来着物は、それほど厳密なルールに縛られるものではなく、もっと自由に楽しんでいいもの。
戦前の抒情画に描かれる女性の着物の着方は決して一様ではなく、着る人の好みや個性を反映し、千差万別だったそう。
この企画展では、抒情画をアンティーク着物によって再現し、さらに同じ着物に違う帯や小物を合わせ、一枚の着物がとり合わせ方によって異なる雰囲気に変貌する様子を展示していました。
作品の撮影は原則NGだったため、インスタ画像を拝借。
一部、高畠華宵の「移り行く姿」(屏風/レプリカ)は撮影可能だったので、撮ってきました。
こちらは、明治末〜昭和10年頃までの女性の風俗の移り変わりが、季節の移り変わりとともに描かれている作品。
明治末〜昭和10年頃だと、だいたい3〜40年くらいの時の流れを描いている感じでしょうか。この時代の3〜40年は、きっと現代の3〜40年とは時代の進むスピードが全然違ったんでしょうね。
企画展を狙って来たというより、この美術館に来てみたいと思ったタイミングでたまたまやっていた企画展がこちらだった……という感じなので、着物にすごく興味があったわけではありませんが、着物が並ぶ華やかな展示の空間にいるだけで心が華やぐような気持ちになりました。楽しかったです!
館内カフェ「夢二カフェ 港や」|根津弥生美術館・竹久夢二美術館
展示を見たあとは、館内にある「夢二カフェ 港や」へ。
階段で2階の席に向かいます。
店名の「港や」は、竹久夢二が1914(大正3)年に東京・日本橋に開店した小間物店「港屋絵草紙店」から名づけられたそう。
日の光がよく入る店内はレトロな喫茶店、といった趣。
窓からは、美術館も見えます。
夢二の描いた椿モチーフがあしらわれた「夢のあと(カプチーノ)」をいただきました。
後ろにこれみよがしに写しているのは、ミュージアムショップで買った夢二デザインのブックカバーです。銀座千疋屋で使われた図案をあしらったものだそう。かわいい……。
美術館のレトロな雰囲気も素敵でしたし、夢二作品もいろいろ見られて大満足でした。
「箱根ラリック美術館」の記事も、よろしければどうぞ。