上野公園の屋外アート「芸術の散歩道 2021」(東京都×東京藝術大学)

多くの美術館を擁する上野恩賜公園。その園内に、屋外アートが楽しめる場所があるのを知っていますか?

東京藝術大学の学生さんの作品が展示されている「芸術の散歩道」です。

東京都×東京藝大の屋外アート|芸術の散歩道 2021

「芸術の散歩道」は、“芸術の香り高い上野恩賜公園”の実現を目的として、東京都と東京藝術大学との協働により2006(平成18)年から始まった事業です。

東京芸術大学美術学部の卒業・修了制作作品の中から、「東京都知事賞」に選ばれた作品が展示されています。

作品が展示されているのは、東京都美術館の裏手側、旧奏楽堂前の園路広場です。

このあたりは犬を連れて散歩している人も多いエリア。通りすがりにアート作品を眺められるなんて贅沢だな、と感じます。

受賞作品を紹介!|芸術の散歩道 2021

「芸術の散歩道」では年度ごとにその年の卒業生・修了生の作品から選んでいるため、展示作品は毎年変わります。
今年のラインナップはこちらの4作品。それぞれご紹介します!

「はだかの王様」臼田貴斗

はだかの王様|The King of Hadaka
臼田貴斗|Takato USUDA

臼田 貴斗(うすだ たかと)さんの「はだかの王様|The King of Hadaka」。大理石でできている作品です。

胸の下のだるっとした感じや膝のシワなど、ぽっちゃりした王様の肌の質感がすごく伝わってきます。
お腹を触ったらぽよぽよ揺れそうだな、と思うくらいの生々しさ!

「とらわれた男」成瀬隆之

とらわれた男|Prisoner
成瀬隆之|Takayuki NARUSE

成瀬 隆之(なるせ たかゆき)さんの「とらわれた男」。こちらも大理石でできている作品。
さきほどの王様と違い、引き締まった体をしていらっしゃいます。

ポーズから、タイトルの「とらわれた」は「捕まった」ではなく、何かしらの考えにとらわれているのかな? と感じました。
散歩道のほうに顔が向いているので、こちらをジトっと見つめているようにも見えます。夜にここを通り掛かったら少し不気味に感じてしまうかも……(笑)。

「ねぇ、おねがい」御代 将司

ねぇ、おねがい|Hey please
御代 将司|Masashi MIYO

御代 将司(みよ まさし)さんの「ねぇ、おねがい」。ブロンズで作られた作品です。

これはおそらくイタチでしょうか。両手を合わせておねがいしている様子がかわいらしい。

口元がほんのり微笑んでいるようにも見えます。何かを必死にお願いしている、というよりは祈っているような印象を受けました。

「Sun room」伊東 五津美

Sun room
伊東五津美|Izumi ITO

伊東 五津美(いとう いずみ)さんの「Sun room」。

木枠で作られた透明な小屋の中に、大きな球体のライトが入っている作品です。窓ガラスやFRP(繊維強化プラスチック)を使っているよう。

作品紹介には「インスタレーション」と書かれていて、暗い中で球体ライトが光っている作品写真が載っていました。おそらく暗い時間帯に鑑賞する作品なんだろうなぁ、と。

夜の時間帯に上野公園に行く機会があれば、ぜひ光っているところを見てみたい!

屋外アートは美術館とまた違った楽しさ|芸術の散歩道 2021

一番気に入った作品はこちら。肌の質感がすごい

「芸術の散歩道」は、鑑賞料金なしで誰でも自由に見られるようになっています。

美術館でじっくりと作品に向き合うのもいいですが、緑あふれる園内に設置された作品を見るのも、また違った楽しみがあります。

私は美術に詳しいわけではありませんが、きれいなものや面白いものを眺めて、あれこれ考えをめぐらせるのは好きです。

展示を見るときにも、有名な誰それが作ったとか、コンセプトがうんぬんとかよりも、「それを見て自分はどう思ったか」が感じられればそれでいいんじゃないかな、と。

アート=敷居が高いと感じる人もいるかもしれませんが、案外気軽に楽しめるものなんじゃ……と個人的には思っています。

美術館や動物園などに訪れた際にはぜひ、「芸術の散歩道」も眺めに来てみてはいかがでしょうか。

【場所情報】芸術の散歩道 2021

住所:東京都台東区上野公園8−43 台東区立旧東京音楽学校奏楽堂

浅草出身のライター。「レトロ」を軸に執筆活動を展開。「和樂Web(小学館)」「びゅうたび(JR)」など各種メディアにて、明治〜昭和の喫茶店文化や食文化にまつわるコラム、レトロスポットの取材記事などを執筆。当Webマガジン「てくてくレトロ」主宰。