宮神輿3基が3年ぶりに登場。2022年の三社祭【浅草の記憶】

2022年の5/21(土)、5/22(日)の2日間で、三社祭が開催されました。

三社祭は、毎年5月に開催される浅草神社(通称:三社様)の例大祭です。
5月の第3土曜日を基点とした金・土・日曜日の3日間で開催されますが、今年は2日間の縮小開催となりました。

半被を着込んだ人々が威勢のいい掛け声とともに御神輿を担ぐ姿は、浅草きっての風物詩ともいえる光景ですが、新型コロナウイルスの影響により、2020年、2021年と延期や規模の縮小をしていました。

参考:2020年、2021年の三社祭について

【2020年】
秋に延期、 10/17〜18の2日間開催。宮神輿・町神輿を含め担ぎ手による担いでの神輿の渡御は中止。
宮神輿1基をトラックの台車に乗せての巡行となった。

【2021年】
宮神輿1基を担がずに巡行する予定だったが、東京都の緊急事態宣言の延長により中止。
例大祭式典をはじめ、宮神輿出御に関連する以外の神事と一部の神楽殿行事を斎行。

※参照

なお、「宮神輿」というのは、浅草神社に納められている3基の御神輿のこと。
浅草神社の氏子(氏神=浅草神社に守られている地域の人々)が四十四ヶ町あり、それぞれが持っているのが「町神輿」です。

「浅草は三社を中心に一年がまわっている」なんて言う人もいるほど、地元民にとっては大切なイベント。私自身、子どもの頃には氏子の地域に住んでいたこともあり、三社祭は毎年楽しみなイベントでした。この二年間で延期や中止などが重なり、頭では「仕方ない」と理解しているとはいえ、やはり寂しい気持ちがありました。

2022年の三社祭は、3年ぶりに宮神輿3基すべてが出ることになったということで、普段は通りすがりに街中の御神輿を見るくらいでしたが、今年はちゃんと見てみようかな、と。

5/20と5/22の様子を、写真とともにご紹介します。

5/20(金)|式典後の浅草神社

5/20(金)の夜に浅草神社で式典があるということで、行ってきました。

着いたらもうほぼ終わるタイミングだったので式典自体は見られず、、、計画性のなさよ……。

御神輿の前のエリアには、けっこう人がいました。
近くの人が「普段はこんなに人が来ることないのに!」と言っていました。「3年ぶりに宮神輿3基が出るんだって!」と、私のような動機で見に来た方もいたのかもしれないな、と。

御神輿の前には、写真を撮ろうと人だかりができていましたが、しばらく待つと前の方に行けたので、写真に収めてきました。

夜の神社には久しぶりに来ましたが、やはり雰囲気があっていいですね。

5/22(日)|宮神輿を探せ!

22日には、宮神輿が氏子四十四ヶ町を巡行する「本社神輿各町移御」がありました。
平常時であれば、四十四ヶ町の担ぎ手が順番に宮神輿を担いでつないでいく形になるのですが、今年は御神輿を台車に乗せて巡っていくスタイルでした。

ちなみに、御神輿をかついで町中を巡るのは、御神輿に乗っている神様に町を見ていただく、災厄を清める、人々の声を聞く……といった意味があるよう。

宮神輿が巡るルートと、何時にどこを通過するかの目安の時間は浅草神社のWebサイトに掲載されていたので、それを頼りに御神輿を探したのですが……全然見つからない……!

遅れているのか、予定より早く通過してしまったのかもわからず、Twitterで調べてみたところ、どうやら遅れていたよう。
ひとまず、ルート沿いにある商業施設「浅草ROX」の向かいの飲食店に入り、窓際席で食事をしながら御神輿が来るのを待つことに。

のんびり食事を食べつつ、予定時刻から2時間近くたったころ、御神輿が到着!

上が鳳凰になっているのは、一ノ宮の御神輿です。
店内からガラス越しに撮ったので、反射した飲食店の照明が写真に写り込んでしまいましたが、席に座りながら見られたのでよかったな、と。

食事を終えたあと、少し離れたところから宮神輿のあとを追って歩いて行きました。

すしや通り

宮神輿はすしや通りを抜け、雷門通りへ。そのまま人の流れに沿って雷門通りの歩道を歩いていきます。
人が多すぎて近付くのは諦め、遠目からカメラで撮影。

浅草セントラルホテルの前あたり。ここが宮神輿の受け渡し場所のようで、三本締めのあとに受け渡し……と思いきや、突然御神輿のまわりで喧嘩が始まりました。

遠かったので喧嘩の様子は見えませんでしたが、怒号が飛び交う中、「やめろー!!!」と喧嘩を止める声も響きわたり、あたりは騒然。

火事と喧嘩は江戸の花、なんて言葉もありますが、昔は三社祭と言えばそこかしこで喧嘩が起きていたそう。
近年は喧嘩も少なくなっていますが、久しぶりの三社祭で、久しぶりの喧嘩らしい喧嘩を見て、不謹慎ながら心の中で盛り上がってしまいました。(いや喧嘩はだめなんですけどね)

しばらく様子を見ていましたがおさまりそうになく、撮影しようと立ち止まる人も増えてきたため、とりあえずその場を離れました。

少し先回りして、オレンジ通りで宮神輿を待ち構えることに。

宮神輿を待っていると、神輿を先導するように歩く天狗がまず登場しました。こちらの写真は、椅子に座って休憩をしているところ。
天狗さん、一本歯の下駄を履いていらっしゃいます。これでずっと歩き続けるのはかなり疲れるだろうな……そりゃ休憩も必要だ。

天狗のあとにやってきたのは、着物姿の女性たちを乗せた山車。
山車には「浅草あやめ連」と書かれたちょうちんがついています。調べたところ、「浅草あやめ連」はお囃子の会の名称だそう。

宮神輿 一ノ宮
宮神輿 一ノ宮

御神輿がやって来ました!
これは一ノ宮。一ノ宮は上に鳳凰が付いているので見分けやすいですね。鳳凰の下には「一ノ宮」とプレートもついています。

そして次に二ノ宮、三ノ宮と続きます。

宮神輿 二ノ宮
宮神輿 二ノ宮

二ノ宮・三ノ宮はてっぺんの飾りが同じなので見分けがつきにくいのですが、てっぺんの飾りの下あたりについているプレートに「二ノ宮」「三ノ宮」と書かれています。

時折、見物客が御神輿に近づいて担ぎ棒に触れ、満足げに去っていく姿が見られました。これ、昔から度々見かける光景なんですが、ご利益にあやかる的な意味なんでしょうか。単純に御神輿にさわりたい、という感じかもしれませんが。

コロナ以前の三社祭では、担ぎ手がぎゅうぎゅうになりながら神輿を担ぎ、大きな掛け声をあげていましたが、今年の三社祭はやはりそういうわけにもいかず。以前の様子を知っている自分からすると、「前みたいな三社を早く見たい」と思いますが、それでも宮神輿が3基巡行した今年の三社祭は、一昨年、昨年と比ればだいぶ以前のお祭りに近づいたな、という印象。

コロナの影響で止まっていた世の中が少しずつ動き始めていくんだろうな、と。そんな予感を感じさせる2日間でした。

浅草出身のライター。「レトロ」を軸に執筆活動を展開。「和樂Web(小学館)」「びゅうたび(JR)」など各種メディアにて、明治〜昭和の喫茶店文化や食文化にまつわるコラム、レトロスポットの取材記事などを執筆。当Webマガジン「てくてくレトロ」主宰。