上野恩賜公園内にある神社、上野東照宮の境内にある「ぼたん苑」では、回遊形式の日本庭園に植えられた牡丹を楽しめます。
牡丹が見られるのは、春と冬のみ。秋の時期には、牡丹の代わりにダリアが楽しめます。今回、秋開催の展示「ダリア綾なす秋の園」を見てきました。
春・冬は牡丹、秋はダリア。上野恩賜公園内「上野東照宮ぼたん苑」
上野東照宮ぼたん苑は、徳川家康公を御祭神とする上野東照宮の敷地内に、1980年4月に日中友好を記念し開苑しました。
回遊形式の日本庭園では、春は110品種600株、冬は40品種150株の牡丹が栽培されています。
牡丹の花は「富貴」の象徴とされ、「富貴花」「百花の王」などと呼ばれています。
日本には、奈良時代に中国から薬用植物として伝えられたのだとか。江戸時代以降には栽培が盛んになり、数多くの牡丹の品種が作り出されました。また、牡丹は季語として多くの俳句に読まれたり、絵画や文様、家紋などに使われたりと、日本人にとっては親しみのある花です。
ぼたん苑では、花の咲く時期に合わせて、年に三度の催しを行っています。
- 春のぼたん祭:4月中旬~5月中旬
- ダリア綾なす秋の園:9月下旬~10月下旬
- 冬ぼたん:1月1日~2月中旬
上野公園は昔から度々来ていたものの、ぼたん苑の存在はずっと知りませんでした。
今回、散歩中に偶然看板を見かけ、「ダリア綾なす秋の園」に行ってきました。
日本庭園でゆったりとダリア鑑賞|上野・ぼたん苑「ダリア綾なす秋の園」
ぼたん苑は、上野東照宮の境内にあります。
まずは、入り口の券売機で入場料をお支払い。
ダリア展は、一般500円(小学生以下は無料)でした。
ちなみに、過去には入場料が700円の時もあったようなので、開催時期により多少異なるのかもしれません。
回遊形式の苑内には、ところどころに和傘が飾られていて、風流な雰囲気。
和傘の下にダリアが植えられていて、花と和傘のコラボを楽しめるようになっているようなのですが、残念ながら今回、台風の翌日に伺ってしまったため、傷んでいる花もちらほら……。
それでも、苑内にはたくさんの種類のダリアが咲いていて、十分に楽しめました。
苑内は予想以上に広く、ところどころに休憩できるベンチが設置されていました。入場料があるせいもあってか、そこまで人も多くなく、ゆったりと過ごすことができます。
苑内には、たくさんの風鈴が並ぶエリアも。この日は台風一過の晴天で、日差しも強く暑かったのですが、風鈴の涼しげな音色のおかげで体感温度が少し下がったような気がしました。
ダリアは江戸時代にオランダから伝来|上野・ぼたん苑「ダリア綾なす秋の園」
ここからは、ぼたん苑内にあった案内書を参考にしつつ、ダリアが日本にやってきた経緯をご紹介します。
松平定朝が著した『百花培養考』によると、江戸時代末期の1841(天宝12)年、オランダ船によりダリアのタネがもたらされ、「天竺牡丹」や「ラノンケル」の名で呼ばれたそう。その豪華で美しい花は、好奇心旺盛な江戸の花好きの人々の心をとらえ、江戸の町で大いに人気を博しました。
日本にいろいろな品種が伝わったのは、明治時代の中期以降で、1909(明治42)年に東京赤坂で、第1回の品評会が開催されました。
これをきっかけに、ダリアはモダンな草花として普及していったそうです。
苑内には、「ダリア」と聞いてイメージする姿とはかけ離れた姿の花も。改めて、ダリアっていろいろな種類があるんだな、と感じました。
いろいろ見た中での私のお気に入りは、この「フェルメール」という品種。花びらの裏側が濃い紫で、表側はうすいピンク色、というツートンカラーがいいな、と。
こちらはまだ咲ききっていませんが、満開になったフェルメールの画像を検索して見てみたところ、少し長めの花びらが幾重にもなったフリルのような華やかさでした。
ぼたん苑からは、五重塔も見えます。豪華絢爛なダリアと五重塔、そして青空のコントラストが美しい!
寄せ書きコーナーがあったので、イラストを残してきました。
2021年の「ダリア綾なす秋の園」は、10月31日まで。緑あふれる日本庭園で、秋の訪れを感じたい方はぜひ。
春と冬の牡丹の時期にも、ぜひまた来てみたいなと思いました。
【施設紹介】上野恩賜公園内「上野東照宮ぼたん苑」
住所:東京都台東区上野公園9-88 上野東照宮 内