純喫茶の「純」とは何なのか——。その意味をご存知でしょうか?
「純喫茶」とは、昭和初期に存在した「不純」な喫茶店との区別のために生まれた呼び名です。
日本で本格的な喫茶店/カフェーが発展し始めたのは、明治後期〜大正初期のこと。当初は作家や芸術家たちの溜まり場、交流サロンのような立ち位置でしたが、関東大震災を境に個人経営の小さな店が増えていくにつれ、女給(ウエイトレス)が隣に座って接待するようなサービスをウリにする店が増えていきます。
その後、風紀の乱れが問題視され、女給の接待サービスを提供している店は規制を受けます。その際、「酒類を提供し、女給が接待をする店=特殊喫茶」という扱いになりました。そして、「酒を出さず女給の接待もない店=純喫茶」と呼ばれるようになったのです。
今回伺ったのは、上野御徒町にある「不純喫茶ドープ」さん。
もちろん、「不純」といっても女給さんの接待があるわけではありません。では、どんなお店なのでしょうか。
その様子をご紹介します!
上野/湯島のネオ喫茶|不純喫茶ドープ 上野御徒町店
「不純喫茶ドープ」は、中野・上野御徒町・ラフォーレ原宿(※期間限定、2022/1/10まで)と、都内に3店舗を構える喫茶店です。
近年、「新しくオープンしたお店だけど、昔懐かしいレトロな雰囲気がある喫茶店」が「ネオ喫茶(ネオレトロ喫茶)」として話題にのぼることも多いですが(下北の喫茶ネグラさんなど)、不純喫茶ドープはまさに「ネオ喫茶」です。レトロな雰囲気の店内で、昔懐かしの喫茶店メニューが楽しめます。
今回訪れた上野御徒町店は、最寄駅でいうと湯島が一番近いです(Google Mapだと徒歩1分)。ただ、上野駅からでも徒歩10分程度なので、おさんぽがてら上野から歩いても良いかと。秋葉原からも徒歩圏内ですよ。
店名の「不純」は、「お酒を提供しているお店」という意味。不純喫茶ドープは、ビールやサワーなどお酒メニューが豊富にあります。喫茶店の定番メニュー・クリームソーダも、お酒バージョンの「クリームソーダハイ」があるんです。
コンセプトは、「せつない気持ちのゴミ捨て場 夜になると開きたくなる扉」。
お酒が飲めることもあり、まさに夜にしっぽりと過ごすのにぴったりなお店です。
レトロながら目新しさも感じる空間|不純喫茶ドープ 上野御徒町店
不純喫茶ドープさんは、昔ながらの喫茶店のような内装ではありますが、完全なる「レトロ」ではなく、どこか目新しい雰囲気も感じる不思議な空間です。
こちらは、もともと「カフェ ヴェルデ」という喫茶店だったそうで、店内の内装はその当時のものをほとんどそのまま使用しているようです。
内装はしっかりレトロですが、店員さんやお客さんは比較的若い方が多く、かかっている音楽もポップな感じ。そして、お会計は現金不可・キャッシュレス決済のみ。このハイブリッドなところがまさに「ネオ喫茶」なんだろうな、と。
個人的に、喫茶店で必ずチェックするポイントは「床」。ドープさんの床、渋くていいですね。
ゴージャスな床がお好みの方は、同じく上野にある「古城」さんがおすすめですよ。
3店舗ある不純喫茶ドープには、それぞれテーマカラーがあるそう。
中野は青、原宿は黄色、そして上野御徒町は緑です。テーマカラーやコンセプトなど、世界観の作り込みがしっかりしている印象。こりゃ流行るわけだ〜。
昔懐かしの喫茶店メニュー|不純喫茶ドープ 上野御徒町店
さて、今回オーダーしたのは、ナポリタンとだし巻きたまごサンド、コーヒーにクリームソーダです。
お通しはパンの耳を揚げて砂糖をまぶしたやつ。これ、子どものころによくおやつで食べたな。懐かしい!
ちなみにお通しは夜の時間帯だけのようです。(お通し代:280円)
ナポリタンはたまねぎとベーコンとケチャップにこしょうがぱらり、というシンプルな味つけです。太麺のやわらかめの食感が、なんだか郷愁を誘います。
たまごサンドは、ゆで卵をつぶしてマヨネーズであえたものではなく、だし巻きたまごが挟んであるタイプ。パンに塗られたからしマヨネーズが、ピリリと味にアクセントを加えています。
どちらも量は少なめなので、一人前のつもりで頼むと「あれ?」となるかも。
同じメニューでも、昼間の「喫茶タイム」と夜の時間帯の「喫茶酒場タイム」では、値段や量が違っていて、喫茶酒場タイムのフードはどれも少なめのようです。何種類か頼んでお酒と一緒につまむ想定なんでしょうね。
お酒の提供がストップしていた時期に伺ったので、クリームソーダはノンアルバージョン。
クリームソーダは、ソーダ(青)、メロン(緑)、はちみつレモン(黄)、いちご(ピンク)の4色展開です。
ロゴ入りグラスがかわいい。
ちなみにドープさんはステッカーやTシャツなど、グッズも販売されています。気になる方はネットショップからどうぞ。
(※同じ会社が運営する別店舗のグッズも同じサイトに載っています)
ちなみに「ドープ(dope)」は、「不純物を添加すること」、またスラングで「最高、やみつき」という意味なんだとか。“レトロだけど新しい”なんとも不思議な空間は、たしかにやみつきになりそう。
今度伺った際には、お酒片手に不純な夜を過ごしてみたいものです。
【店舗情報】不純喫茶ドープ 上野御徒町店
※全席禁煙です。
※現金不可・キャッシュレス決済のみ