今回は、浅草出身のてくてくレトロ編集長・中村が、浅草を楽しくめぐるのにぴったりなおさんぽコースをご紹介します。
雷門や浅草寺といった定番観光スポットから、レトロ喫茶・アンティークショップなど、あまり雑誌やネットに載っていない穴場まで、盛りだくさんでお届けします。ぜひ参考にしてみてくださいね!
浅草観光は雷門からスタート! 仲見世をぷらぷらしつつ、浅草寺へ
観光コースのスタート地点は、浅草のシンボル「雷門」
浅草と言えば? で真っ先に思いつく場所、と言っても過言ではない雷門からお散歩をスタート。
雷門は、浅草寺の山門(=お寺の門)。正式名称は「風雷神門(ふうらいじんもん)」と言います。門の中央に吊り下げられた大きな提灯は、浅草のシンボルとも言える存在。いつ行っても記念撮影をする観光客であふれかえっています。人力車の客引きも盛んで、とても活気のあるエリア。
ちなみにこの提灯、毎年5月にある浅草の有名なお祭り・三社祭でお神輿が通るときには、ぶつかってしまうので折りたたまれます。なかなかレアな状態なので、三社祭に浅草に訪れた際には、ぜひチェックしてみてくださいね。
家康の時代から続く日本最古の商店街。浅草の「仲見世通り」を観光
仲見世通りは、日本で最も古い商店街の一つです。徳川家康が江戸幕府を開いてから、江戸の人口が増え、浅草寺への参拝客も一層賑わいました。それにつれて、浅草寺境内の掃除を課せられていた近くの人々に対して、境内や参道上に出店営業の特権が与えられたのが仲見世の始まり。
仲見世には、江戸時代から続く老舗の「金龍山(揚げまんじゅう)」があります。
仲見世には揚げまんじゅう屋が金龍山含め3店舗あり、金龍山が1番の老舗です。ただ、金龍山はバラ売りをしていないので、食べ歩きをしたい場合は他の2店舗(中富・九重)をのぞいてみてくださいね。
観音さまが祀られている「浅草寺」は、幅広いご利益あり!
その昔、隅田川のほとりに住む兄弟が、漁の途中で網で聖観世音菩薩(観音さま)の尊像を引き上げたそう。その御本尊を祀っているのが浅草寺です。
観音さまが現れた日、一夜にして辺りに千株もの松が生え、三日を過ぎると天から金の鱗をもつ龍が松林の中にくだったそう。浅草寺の山号(=仏教の寺院に付ける称号)である「金龍山」は、この出来事が由来となっています。(揚げまんじゅうの「金龍山」の店名は、山号をもとに付けられました)
「聖観世音菩薩」は、「世間の生きとし生けるものの音声を観じ、その苦しみを除かれ、また願いを聴いて安楽を与えてくださる仏さま」とされています。つまり、縁結びなど特定のご利益があるのではなく、幅広く色々なお願い事にご利益がある、ということです。
本堂の前には、線香が立てられている「常香炉(じょうこうろ)」があります。線香の煙を体に浴びるとその部分がよくなると言われていて、通りすがりで浴びている方も多いのですが、自分で線香を購入して立てないとご利益はありませんのでご注意を。線香は近くで販売していますよ。
浅草「伝法院通り」を観光したあとは、純喫茶でひとやすみ
江戸の風情を感じる眺めが魅力。浅草「伝法院通り」を観光
伝法院通りは、江戸中期に建てられた浅草寺の本坊(寺院内で僧侶が生活を送る場所)である「伝法院」がある通りです。雑貨屋さんや飲食店など、様々なお店が軒を連ねています。
江戸の風情が感じられる素敵な通りなんですが、実は私が幼いころは、あまりパッとしない場所……という印象でした。2005年ごろに大規模な改装をしたことにより、各店舗の外観のトーンを揃えて全体的に統一感のある眺めになりました。
※伝法院通りの公式サイトに昔の写真が載っているので、ご興味ありましたらこちらをご覧ください。
浅草観光に疲れたらちょっと休憩! 純喫茶でほっと一息ついて
雷門、仲見世、浅草寺に伝法院通り……と来て、ここらでちょっと休憩! と思ったら、純喫茶でほっと一息つくのはいかがですか。
浅草駅寄りにあるコーヒーショップ「カリブ」は、ガラス張りの入り口が明るい印象の喫茶店。
浅草六区寄りにある「ローヤル珈琲店」は、昭和37年オープンのザ・純喫茶な雰囲気です。
浅草六区のアンティークショップ「東京蛍堂」で観光がてらお買い物も
純喫茶で足を休めたあとは、伝法院を抜けた先にある浅草六区へ。こちらは江戸時代には盛り場、いわゆる歓楽街だった場所です。現在もその名残はあり、落語や漫才などを楽しめる「浅草演芸ホール」や、土日には大道芸の催しもあります。
おさんぽの途中に、「モボモガ御用達」と書かれた風変わりな看板が目に入ったら、小道の奥にあるお店をのぞいてみてください。
古着やレトロなアクセサリー、着物などを扱うアンティークショップ「東京蛍堂」。大正ロマンを愛する店主の美意識がつまった素敵なお店です。
店内にある商品は、すべて一点物。時が止まったかのような静けさをたたえた店内で、自分だけのお気に入りを見つけてみてはいかがでしょうか。
浅草「新仲見世商店街」をてくてく観光。純喫茶と和菓子カフェ、どちらがお好き?
日本で最も歴史あるアーケード付き商店街「新仲見世商店街」
新仲見世商店街は、デパート「松屋浅草」と浅草六区を結ぶ商店街です。昭和5年、「松屋浅草」のオープンにともなってできました。昭和20年の東京大空襲で1度焼失したものの、その後復興をとげています。日本で最も歴史のあるアーケード付き商店街です。(アーケードは戦後に取り付けられました)
仲見世通り、オレンジ通り、すしや通り……など、色々な通りと交差しているので、雨の日になるべく濡れずに目的地にたどり着きたい、というときはここを通ると便利です。
浅草の純喫茶「銀座 ブラジル」と、老舗和菓子屋「舟和本店」の喫茶室
お茶でも飲んでちょっと休憩しようかな……と思ったらぜひ喫茶店へ。
昭和23年創業の純喫茶「銀座 ブラジル」。レトロな店内でほっと一息つけます。チキンバスケットやカツサンドなどが評判なので、食事をしに来てもいいかもしれません。
「銀座 ブラジル」の向かいには、明治35年創業の老舗和菓子屋「舟和」の本店があります。
芋ようかんをはじめ、バラエティ豊かな和菓子を取り扱っているお店。1階は物販、2階から上は喫茶室になっています。
2017年に改装したばかりなので内装は新しく、全体的にレトロモダンで素敵な雰囲気です。
夜の浅草をしっとり満喫。観光の締めはカフェバーで一杯
雷門に浅草寺、スカイツリー……浅草観光は、夜の眺めも趣あり
さて、1日かけて満喫した浅草さんぽもそろそろおしまい。仲見世は、平日だと5時半にはもう閉店しはじめる店舗が出てきます。浅草の夜は終わるのが早いのです。
お店が閉まるのは早いのですが、夜に楽しんでいただきたいのが雷門や浅草寺、伝法院通りなどのライトアップ。昼間とはまた違う、趣のある眺めを楽しめますので、時間や体力に余裕があったら見ていただきたいですね。そうそう、スカイツリーもお忘れなく。
看板猫のいるカフェバー・浅草「ギャラリー・エフ」
夜のおさんぽのあとは、帰る前にカフェバー「ギャラリー・エフ」で軽くお酒を飲んでみては。
こちらは、江戸時代末期に建てられ、文化庁の登録有形文化財にも指定されている蔵を併設したカフェバー。
「がっつり飲まないから居酒屋じゃなくていい。ちょこっと飲めて美味しいものが食べられるお店がいいな」という気分のときにぴったり。個人的におすすめなおつまみはめんたいきゅうりです。(上の写真は、ドリトス&チリ。ちらりと写っているビールは、アンカー リバティーエール)
看板猫の「錫之助(すずのすけ)」、通称すずちゃんは、普段は上の階にいます。もし会いたい場合は、お店の人に声をかけてみてください。(※もしかしたら、夜遅い時間だと会えないかもしれません……お店の方に確認してみてくださいね)
都営地下鉄 浅草線の入口から徒歩30秒の場所にあります。浅草線以外でも駅までは近いので、帰りも楽ですよ。
てくてく浅草観光で休日を満喫!お帰りもどうぞお気をつけて
浅草で生まれ育った私は、今は浅草の地を離れています。住んでいたころは、歴史ある街並みもレトロな純喫茶も当たり前の眺めとして見ていて、わざわざ足を止めることもありませんでした。
浅草は、古き良きと新しさが交差する面白い町。離れてみて改めて、その良さを知ることができました。
今回はレトロスポットを中心にご紹介しましたが、新しいお店もちょこちょこオープンしています。
まだまだ素敵な場所はたくさんありますので、これからもご紹介していきますね。
本日はおさんぽにお付き合いいただきありがとうございました。お帰りの際も、どうぞお気をつけて。
※参考ページ一覧
雷門について
浅草仲見世商店街について
浅草寺について
聖観世音菩薩
浅草公園六区
新仲見世について